ある雨上がりの湿り気のある生暖かい夜、雲か霧か分からないような靄が立ち込める中、一人の少年はいつもの猟から帰る途中道に迷い、とある森の麓を歩いていました。 すると風が吹いたのか、怪しく揺れる木々のざわめきに紛れ込むように、森の奥から何か女性の歌声のようなものが聴こえて来ました。少年はふと立ち止まり耳を澄ましましたが、多少の恐怖感とそれに打ち勝った好奇心の故、誘い込まれるかのように森の中に入って行きました。 その微かに聞こえる歌声を辿り、少年は獣道程度の緩やかな坂道を荊を掻き分け上って行き、そして刻々とその歌声に近付くと思うと、急に道が開け何か広場のような所にぶち当たりました。 そこは暗いはずだった森の中を一変するかのような、月の明かりと霞んだ霧に包まれた幻想的な異次元の空間でした。その月の光を浴びながら、大きな木の切り株の上で白い衣服に身を包んだ一人の女性が夜空に向かって歌を歌っていたのです。 少年はその透き通った美しい歌声に聞き入りました。 が、しかし… それは哀しい想いに満ちた憐れみの詩でした…。 まるで誰かに助けを求めてるような…。 少年は彼女をいたわる気持ちでいっぱいになり、ずっと歌う彼女を見つめていました。 やがて長い夜が明け、東の空から輝く曙の光と共に、その美しい歌声は次第と遠くなり、彼女の姿は朝霧の靄が薄くなるにつれて見えなくなりました。そしてさっきまで夜だった森はまるで幻だったかのように、見渡す限りの楽園へと変わりました。木の上では小さな鳥たちが囀り、空には綺麗な七色の虹が輝き辺りを覆いました。 少年は我に返り、彼女の姿を探しました。するとさっきまで彼女が歌ってた場所に、一輪の可憐な花が咲いていました。 楽園の広場でひっそりと咲く可憐な花… その花は何かを言いたそうに切なく孤独に咲いていました…。 少年はその花に願いました。 彼女が幸せになれた事を…。 ゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・ <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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