【楽天】ドラ2高田孝一、“則本道”進む「絶対的な力を持った投手になりたい」…インタビュー

スポーツ報知
ノックを受ける楽天のルーキー・高田孝

 楽天のドラフト上位3選手インタビュー第2回は、2位・高田孝一投手(22)=法大=。平塚学園時代140キロ程だった最速が、練習と真摯(しんし)に向き合った結果、156キロに進化。エース則本昂大投手(30)を参考にフォームを追求し「絶対的な力を持った投手」を目指す。(取材・構成=長井 毅)

 沖縄・金武町キャンプイン前日の1月31日。ブルペン横に高田孝の姿があった。視線の先にはマウンドに上がった則本昂。同い年の高田萌生と一緒に食い入るように見つめた。自身と同じ、上手投げの右腕。成長へのヒントを貪欲に吸収したい一心だった。

 「6、7割くらいの力で投げていたと思いますけど、球の強さ、勢いがとても強いボールだと感じました。体の使い方、バランス感覚がすごかった。フォームも一連の流れで投げられていたので、そこは参考にしたいですし、自分のタイプ的にも則本さんに似ていると思うので参考にしたい。これから徐々に練習や試合を重ねていく上でコミュニケーションが取れればいいなと思います」

 神奈川・平塚学園時代もプロ注目の投手だったが、法大の4年間で急成長した。高校から最速は15キロ増。最速156キロを誇る剛腕へと変身した。

 「大学の練習をしている上で、自分に何が足りないかを考えて練習するようになったことが一番成長につながった。あとは、練習の中でも、ただトレーニングをするのではなく、一つ、一つ、体の動きを丁寧にコントロールしながらやることを意識していた。そうすることで、ピッチングでも思った通りに体を動かせているなと感じることが増えた。この2つが球速アップにつながりました」

 研究熱心な“考える人”。自分自身ととことん向き合うことで、4年春のリーグ戦(8月)にはそれまで150キロだった最速が、一気に154キロに上昇。理想と現実の“ズレ”が埋まったことが背景にあった。

 「3年生まではウェートでがっつり体を大きくすることに力を入れていた。でも、大きくした体をうまく投球に生かせていない状況だった。自分のイメージした通りに体を動かすというバランスを意識したメニューを入れていくなかで、徐々に自分のフォームの感覚がつかめて球速が上がった」

 どん底も経験した。大学3年生の春、投げても投げても打たれるようになったという。自分に足りなかったものを冷静に分析し、練習に取り組む姿勢を変えた。その経験があったからこそ、成長の幅も大きかった。

 「挫折といえば、大学時代が当てはまります。2年生の1年間はある程度、投げられたけど、3年生の春は打たれるようになって、先発も外された。自分の投球を振り返り、練習も見返し、3年の秋からは少しずつ本来の投球ができるようになった。当時も自分の中ではちゃんとやっていた“つもり”だったんですが、今の自分から見ると、ただキャッチボールをして、試合に臨んでという感じだった。その頃から比べると、練習の質が変わりました。技術的な面では遠投を増やして、スムーズにボールに力を伝えるバランス感覚を養っていきました」

 一連の連動性に重きを置いた“流れるような”投球フォームを理想に描く。日々の自身のコンディションも意識しながら仕上げていく。

 「下半身から上半身の指先まで、スムーズに力を伝えられるイメージを持っています。例えば、体のどこかに疲労や張りがあったり、どこかの一部分が動かない状態だと、そこで連動性が止まってしまう。体のメンテナンスや可動域であったり、一日、一日、体のバランスが違うので、その日の状態を見てどうするのかを今は考えてやっています」

 プロでの“最終目的地”は相手を圧倒する投手だ。具体的な数字ではなく、誰からも信頼される姿を思い描く。

 「最終的には、ファンやチームメート、自分自身でも『高田がマウンドに上がれば問題ないな』と言われるような絶対的な力を持った投手になりたい。細かい数字とかタイトルとかは考えていませんが、今思う最終的なゴールはそこかなと。今は先発で投げきるイメージが強い。そこはチームのニーズにもよりますし、自分の可能性を狭めたくはないので、与えられたところで自分の仕事を精いっぱいやりたい」

 13年に入団した則本昂もドラフト2位。ルーキーイヤーから15勝をマークし、新人王を獲得した。一方の高田孝にも期待が集まるが、自身は足元を見つめ、“リップサービス”はしない。

 「しっかり、開幕1軍を勝ち取って、1年間1軍で戦い抜くことが目標です」

 開幕1軍、年間通じたフル回転を約束した。第3クールに入り、実戦登板が迫る。ここから競争に熱が帯びてくる。

 「1軍でキャンプをやらせてもらっている。実戦の機会がこれから出てくる。周りに左右されることなく、100%のパフォーマンスを常に出せるように準備していきたいです」

 ◆高田 孝一(たかだ・こういち)1998年6月3日、神奈川・綾瀬市生まれ。22歳。大上レッツフォアーズで野球を始める。北の台中(軟式)から平塚学園に進み3年夏の神奈川大会8強も甲子園出場はなし。法大では2年春からリーグ戦出場。東京六大学リーグ通算31試合で7勝3敗、防御率3・22。183センチ、91キロ。右投右打。年俸1100万円。

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