高校野球の県秋季大会(県高野連主催、神奈川新聞社など後援)決勝が28日、保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム(横浜市保土ケ谷区)で行われ、平塚学園が8-1で桐光学園を破り、13年ぶり2度目の優勝を飾った。
平塚学園は1-1の七回、倉岡生来(2年)の適時打で勝ち越すと、八回にも一挙6点を奪って突き放した。
両校は10月25日から5日間、千葉市の千葉県野球場などで開催される関東大会に出場する。組み合わせ抽選会は同10日に行われる。
◇平学 投打に圧倒 八回集中打 一挙6点
堅実な戦いが実を結んだ。平塚学園が8-1の大勝で13年ぶり2度目の優勝。光ったのは打者10人で6点を奪った八回の猛攻よりむしろ中盤までの地道な試合運びだ。
堅守で再三のピンチをしのぎ、最少失点差で迎えた五回の攻撃だった。
二塁打の倉岡を犠打で送って1死三塁とし、八木崇文監督(35)が仕掛けたのはエンドラン。これに応えた北岡が投前に転がして追い付いた。「スクイズより点が入りやすい場面もある。1打席目でタイミングが合っていたし、必ず転がしてくれると思った」と指揮官。七回の勝ち越した攻めにも、試合巧者ぶりが見える。
無死から松本が二塁打で出ると、続く桑原が二ゴロで進めて1死三塁。ここで倉岡が2球目の外のスライダーに食らいつき、狙い通りに二遊間をしぶとく割った。「しっかり踏み込んで外の球を狙った。内野が前進していたので間を抜くようイメージした」。この日3安打2打点と大当たりの背番号9は笑みを浮かべた。
準々決勝で横浜隼人、準決勝で東海大相模と強豪をいずれも2-1の接戦で下し、頂点を奪い取った。バックはこの日も無失策。「バッテリーを含めた守備の粘りと、集中打(が原動力)だと思う」。八木監督は栄冠への足跡をそう語る。
ただ、目指すべき舞台へは道半ばだ。「攻撃面でまだ練習が足りない。(関東大会まで)あと1カ月あるので成長しないといけない」と指揮官。さらに進化した平学野球で、選抜切符をつかみ取る。
◇桐光 継投はまらず 8年ぶりのV逃す
桐光学園は鮮やかに先制しながら二回以降は無得点。継投もはまらず、完敗を喫して8年ぶりの秋制覇を逃した。
一回は見事だった。四球で出た先頭根本の二盗と田中幸の右前打で一、三塁の好機をつくると、1死後に中川の犠飛で1点を先取。しかし、二回からは散発3安打とつながらなかった。
野呂雅之監督(53)が「3、4番と続くところで取れなかったのが大きかった」と悔やんだのが1-1の七回。1死二塁で恩地、中川の中軸がともに内野ゴロに倒れ、好機を逸した。
好リリーフを続けてきた投打の柱、左腕恩地も7失点。頼みの綱が切れては勝利は遠かった。
「一歩間違えば、準決勝までにこの結果が出てもおかしくなかった」。指揮官はチームが途上にあることを認めつつ、チャンスがあることも強調する。「選抜(大会出場)が途絶えたわけではない。この1カ月で敗戦をどれだけばねにできるか」。選手に奮起を求めた。
■総合力をつけたい
平塚学園・八木崇文監督の話 序盤は我慢と言っていたが、よく粘ってくれた。関東大会までに成長しなければならない。攻撃面も練習すればまだ伸びる。総合的な力をつけたい。
■選抜大会出場目指す 平塚学園・戸張駿主将の話 打線につながりが出てきた。選抜大会出場を目指し、関東大会でもピッチャーを楽にできるようしっかりと練習を積み、チーム一丸となって戦いたい。
■2年生3投手 好投
平塚学園は、前日12回136球を投げ抜いていた1年生高田孝の登板を回避。エース不在のマウンドで2年生3投手が1失点と踏ん張った。
先発の高田准は三回まで毎回先頭を四球で歩かせたが、一回の先制点だけに踏みとどまる。2番手の左腕新倉が直曲球を丁寧に集めて5回を無失点とすると、九回に上がった右腕堀江が直球で押し、連続三振に切るなど三者凡退で締めた。
連戦となる関東大会に向けて大きな収穫を手にし、八木監督は「きょうは2年生3人で頑張ろうと伝えたが、四球を出しながらも要所で粘ってくれた」とたたえていた。【神奈川新聞】