柳原鉄太郎のブログ
2014年09月10日(水)
【病を味わう】
病気になってそれが治って、治って息災を喜ぶうちにまた病気になって、ともかくも一切病気なしの人生というものは、なかなか望みえない。軽重の違いはあれ、人はその一生の何回か病の床に附すのである。

五回の人もいよう。十回の人もいよう。あるいは二十回、三十回の人もいるかもしれない。親の心配子知らず。幼い頃から、不安と焦燥に悶々とする明け暮れに至るまで、人はいくたびか病の峠を越えてゆく。

だが、しかし、人間にとって所詮死は一回。後にも先にも一回きり。とすれば、何回病気をしようとも、死につながる病というのも一回きり。後の何回かは、これもまた人生の一つの試練と感じられようか。

いつ時の病が死につながるのか、それは寿命にまかすとして、今度の病もまた人生の一つの試練なりと感じれば、そこにまた己から心もひらけ、医薬の効果も、更にこれが生かされ、回復への道も早まるであろう。

もちろんのこと、誰もが病は抱えたくはない。

だから、毎年、新年の初詣にて願うことは、無病息災、家内安全、五穀豊穣、などを願うことにつながる訳である。

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