【まねる】 徳川家康という人は、ずいぶん偉い人であった。人によっては好き嫌いあるかもしれないが、ともかく天下を安定させ、三百年の治世の基礎をきずいた。どこかにすぐれたところがあったに違いない。だからこそ、徳川家康ブームといわれるほどに、その小説が読まれ、愛好されたのである。 しかし、家康が偉いからといって、そのままこれをまねようとするのは、これはいささか見当違いである。家康なればこそあの道が歩めたのである。たとえ家康以上の人物がいたとしても、まねる心だけではおそらく道を誤るであろう。 ものをおぼえることは、まねることから始まる。子供の歩みを見てもわかる。しかしウリのつるにナスはならない。柿の種をまけば柿がなり、梅の木には梅の花が咲く。 人も皆違う。柿のごとく梅のごとく、人それぞれに、人それぞれの特質があるのである。大事なことは、自分のその特質を、はっきり自覚認識していることである。 その自立性が欲しい。まねることは、その上に立ってのことであろう。 02:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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