【心に期す】 濃い紫の東の空が、いつのまに水色に変わってきたかと思うまもなく、葉を落とした樹々の間から、数々の光がサッと流れ出る。霧がきらめき、身が引き締まる。厳しい寒気のなかの、リンとした元旦の朝である。 思い出す。若き日のいつであったか、こんな夜明けを迎えたことを。あの日あのとき、何か心に期するものがあったのか、腕を組み、顔を上げ、凍るような大地に足を踏まえて、まだ暗い東の空を凝視していた。 祈るようなその顔を、一瞬、真紅に染めあげた一条の極光。思わず身震いがして、拳を固く握り締める。そして溢れるように思いが湧き出てきたあの感動の夜明け。 新しい年の始めである。人それぞれに、心に深く期するものを持たねば、この年の歩みが踏み出せそうに無い。 そんな厳しいこの年の始めである。 だからこそ思い起こそう。いつの日のあの溢れるような感動の朝を。 08:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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