【さくら】 さくらの蕾が日に日に膨らんでいる。長く寒い冬を、小枝にしがみつくようにして耐え続けて来たのが、今日この頃はふっくらと色づいて、花開く日の喜びを春風に託している。桜花爛漫を待って浮かれるのもよいけれど、色づく蕾を仰いで、その耐えてきた日々をそっと労うのも、また人間らしい思いやりであろう。 人の歩みの花開くのも、長く辛い忍耐の末にあるのかも知れない。だからこそ、耐え抜いた人生の開花を見るとき、人は惜しみなく賞賛を贈る。 しかしまた、未だ花開かず、じっと人の世の寒風に耐えているささやかな歩みに対しても、心を込めた労わりと励ましを与え合うのも、人間だけができる思いやりの世界であろう。 人の心が乱れてくると、ともすれば耐えることを忘れ、讃えることを忘れ、労わりと励ましの思いやりも忘れがちになる。そして人の世の乱れはさらに増す。 せっかくのこの季節、さくらの蕾を仰いで、しばし我が心を省みたい。 07:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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