【訴える】 子供がたどたどしく訴える。つぶらな瞳をいっぱいに見開いて、まわらぬ口で訴える。 そんなことは訴えられなくとも、親のこちらは十分承知のことだが、その可愛い真剣さに、思わず耳を傾ける。慈愛の眼差しに、微笑を讃えて、大げさなほどの相づちを打てば、子供はいよいよ真剣である。 そんなやり取りの中から、子供の訴えの中に、フト心を打つ言葉が飛び出してくる。 そして、十分承知と思うていたことが、十分承知でなかったことに気がついて”負うた子に教えられ”とはこんなことかと苦笑をしつつも、子供の言葉が心にしみる。 世の中が何となく乱れてくると、みんなが浮き足立って、人の訴えに耳を傾けるよりも、引きつった顔で自我の主張に狂奔するばかりである。そして心にしみる言葉どころか、お互いに傷つけ合う言葉だけが横行する。 たどたどしい子供の訴えにも、懸命に耳を傾けたあの慈愛と微笑みはどこへ行ったのか。 05:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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