【夏の嵐】 夏の湖畔。その湖畔に夏の嵐。いつもは鏡のように静かな湖面も、今日ばかりは鋭い風が吹きぬけ、白い波が泡立つ様に舞い立つ。別に寒くはないけれど、暗く押しかぶさる雲の下を、風とともに時折、帯のように雨が走る。 その嵐の湖面に、一そうの和船。船頭が懸命に櫓を漕ぐ。押して引いて、押して引いて。そのたびに船は右に傾き、左に傾く。 押して傾き引いて傾く。船のへさきも右に揺れ左に揺れる。それでも巧みなバランスで、船は揺れつつも真っ直ぐ進む。右に傾きっ放しにもならなければ、左に傾きっ放しにもならない。真っ直ぐに真っ直ぐに前進する。風に向かって前進する。 揺れるよりも揺れない方が良いけれど、揺れないことは即ち留まること、そして流されること。揺れるなかにこそ、真っ直ぐに進む道も開けてくるのである。 激動の嵐が吹く世界。その世界の中の日本。揺れに揺れはするけれど、その進む道について、時には一そうの和船の姿も思い浮かべてみたい。 08:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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