【自然の声】 秋の夜。床に入って静かに眼をつむる。とりとめもなき想いが、現れては消え、消えては現れる。月に流れゆく雲のような想い。 そんな想いがフト中断したとき、どこからかかすかに虫の声。チリリリ。いつの間に鳴いていたのか。この虫の声、自然の声。なぜ今まで気がつかなかったのだろう。起き上がって窓をあければ、ヒヤリとした大気の中に、秋の夜の月。思うこともなくその月を仰いでいると、虫の声と共に、月光の声も聞こえてくるようだ。サラサラというのだろうか、シンシンというのだろうか。 自然は囁いている。語りかけている。しかし我が想いに捉われている時には、この声は耳に入らぬ。 心を静めよ。捉われを捨て切れ。そして耳を澄まそう。何も考えずに耳を澄まそう。その時、自然の声が我が心に伝わってくる。それはあるいは、赤ん坊の時の汚れのない綺麗な自分の本心の囁きかもしれない。 狂乱の巷の歩みをしばし留めて、秋の夜に身を委ねてみたい。 05:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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