【柿の実】 秋の気配である。大気は清澄。空が青い。その青い空に、柿の木が腕を伸ばす。そして小枝の先で、柿の実が鮮やかに色づいていく。 子どもがそれを欲しがる。樹に登って及び腰。竿をやたらと振り回す。だがそうたやすく捥ぎ取れない。柿の実は、小枝の先にしっかりつながっている。その小枝は中枝に、中枝は大枝に、またその大枝は、幾星霧の年輪を刻む樹の幹に、がっしりとくい込んでいる。そしてその樹の幹は、不動の大地に深々と根をおろしているのである。 小枝だけで実がなるのではない。根から幹から根を通じ、いわば大地の力が実をならしめているのである。 柿の実を仰ぎ見て、その見事さに感嘆するのも良いけれど、同時に足元の大地をもまた見定めて、その広く深い無限の力にも思いを潜めたい。 いわゆる枝葉末節に捉われて、大地の力を思わぬ姿は、子どもがやたらと竿を振り回す姿に似ているともいえよう。お互いにこんな思いで、今一度我が身を振り返ってみたい。 10:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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