【寄りそう】 秋の夜空は美しい。”ウサギのもちつき”が”静かの海”や”クレーター”に変わったけれども、それでもシンシンと輝く月の光の神秘さは、密やかな虫の声とともに、今なお人の心の奥底くまで染み込むようである。 その月に、もちろんウサギはいなかった。そして、人間らしいものの片りんすら見出せなかった。月だけではない。火星にも金星にも、その気配は全くなさそうである。見渡す限りの星空。行けども行けどもつきせぬ星空。そのいずれにも人間がいない。人間の生命がない。人類という貴重な存在はこの小さな地球上だけにしかいないのである。暗黒の宇宙に、緑色にポッチリと浮かぶこの地球上にだけなのである。 荒野にさまよう人々は、自然に寄りそう。お互いに同じ人間であることを確かめ合えた喜びで、荒れすさぶ手を取り寄りそっていく。 無限の宇宙の中の七十億の人類。この大事な生命。お互いに秋の夜空を仰ぎ見て、もっと寄りそいたい。お互いに同じ人類であることを確かめつつ、静かに手をとり寄りそいたい。 01:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] |