【暖衣飽食】 母も子も、食べるものが何にもなくて、ひもじさに泣く我が子をあやしつつ、我はたとえ飢えに倒れるとも、この子だけはと祈る思いで過ごしたあの日々。 遠い昔の歴史物語ではない。つい三十年ほど前のお互いの体験のこと、そんなときの掌一杯の白い米粒は、ダイヤモンドの輝きよりも尊く、ありがたく、うすうす引き伸ばしたその粥を小さなその口に与える。 時代は大きく変わった。飢えに泣く子もなくなったし、寒さに震え嘆く親子もなくなった。飢餓の日本から、まさに暖衣飽食の日本である。 だが暖衣飽食は、知らず知らずのうちに甘えを生み出したり、驕りを生み出した。そして素直さを失い、謙虚さを失い、感謝の心を失って、自然と人と物への愛情をも失った。かつて日のダイヤモンドの米粒も今は無造作に捨て去られ、あり余る食べ物を前にしつつ、互いに不信と不満と不平で口角泡を飛ばす。このツケはどんな形でかえってくるのか。物心ともの新たな飢餓日本になるというのか。 他人事ではない。 03:00 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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